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2017.07.10

炭水化物が人を太らせる:希薄効果、プッシュアウト効果

目次

  1. もし炭水化物がなかったら
  2. 消化の悪い食べ物は "太りにくい" と言える
  3. 炭水化物が人を太りやすくする効果

(1)希薄効果
(2)プッシュアウト効果
<まとめ>

ご飯

私達が 「たくさん食べると太る・・・」と考える時、パンやご飯・麺のような炭水化物のイメージだと思います。

今回は、カロリーが増えるからでもなく、血糖値が上がりインスリン分泌を促すからでもなく、炭水化物(注1)が人を太りやすくする、いくつかの間接的な意義について説明します。

注1)厳密には砂糖なども炭水化物の仲間ですが、ここではデンプン、穀類など「多糖類」のことを指して使っています

1.もし炭水化物がなかったら(私にとって)

私の体重が30kg代に落ちた時、炭水化物の力がなければ全く太ることは出来なかったと思います。私の場合、それは油脂でも砂糖でもできない・・・。つまり私が生クリームたっぷりのケーキや、脂っこいトンカツや中華を食べて太ることはなかったはずです。今回は、その理由を説明します。

   
まず、炭水化物と一概に言っても、すべて同じではありません。
炭水化物は、主にその化学構造によって、単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類などに分類されますが、食物繊維として扱われるセルロース(多糖類)や難消化性のオリゴ糖、レジスタントスターチなどは健康増進のためにむしろ摂取すべきでしょう。

また、砂糖などの単純炭水化物(糖類)も、一時的な体重増加や血糖値関連の疾患に繋がるとしても、体重の設定値をアップさせるという意味では、太る原因ではないと考えます。

体重の設定値をアップさせるという意味において、私が太る原因と考えるのは、澱粉(多糖類)を多く含み、食物繊維が少ない消化の良い炭水化物(米・麦のような精製された穀物、ジャガイモなど)です。

ですから、玄米や全粒粉パン、チャーハン、冷やご飯などは、同じタイプの炭水化物ですが異なる結果をもたらすかもしれません。
これらは、血糖値をあげにくい低GI 食品、又はレジスタントスターチとして知られていますが、換言すると、これらの食品は消化できない成分を多く含んでいたり、消化吸収に時間がかかるのです。

2.消化の悪い食べ物は  "太りにくい" と言える

先程述べたような血糖値をあげにくい炭水化物、固い肉、油脂、食物繊維たっぷりの野菜や海藻、乳製品を含めて、消化の良くないものを常に食べていると、腸内飢餓は起こりにくくなり、設定体重がアップしずらいという意味において、太りにくいと言えます

あくまで、痩せている人が毎日きちっと食べれば 「太りにくい」 ということです。既に太ってしまった(太っている)人が少しくらい食べたからと言って、痩せれる訳ではありませんが、これらは常にダイエットで話題にされる食品であり、摂取の仕方によっては痩せることも可能です。
        

3.炭水化物が人を太りやすくする効果

それとは逆に、デンプンを多く含む消化の良い炭水化物(白米、粥、白パン、ポテトなど)や植物から抽出されたコーンスターチのような加工デンプンなどは、消化を全体的に早めます。よって、消化の良いタンパク質、超加工食品などと組み合わされば、「腸内飢餓状態」ができやすくなるのです。

私が今の時点で考えるのは、次の2つの効果です。
      

(1)希薄効果

消化の良い炭水化物(ご飯、パン、麺など)を相対的に多くすると、食事中の肉や魚、野菜などのおかずの占める割合は相対的に低くなります。

大さじ1杯の油もごはんを2倍にすれば、相対的に油の濃度は低下します。生卵は消化が悪いですが、卵かけ御飯にし、味噌汁・お茶などを一緒に飲めば卵の濃度は低下します。

たまご飯
mixed food

つまり、消化の良いデンプンと水分を加えて攪拌(ミキシング)し、希薄された栄養を腸に送っているということになります。

例えば、ハンバーガ(ドリンク付き)とおにぎりを一緒に食べたとします。これを、ミキサーにかけ攪拌すると、肉をデンプンで伸ばしたようなものになる。

ごぼうサラダ

一方、おにぎりをやめて、牛蒡のマヨサラダを加えると・・・炭水化物の希薄効果は薄れ、食物繊維や脂質がプラスされます。

※牛蒡のマヨサラダのカロリーは(158kcal /100g)で、おにぎり(1個、215kcal)とはさほど変わらないけど、その意味あいは大きく違うわけです。だからカロリーベースで考えると間違いが起きるのです!!

健康な食事

また、糖質制限ダイエットに見られるように、炭水化物を減らし、肉や魚などのタンパク質や油脂、野菜を増やせばどうなるのか?

この場合は、密度の濃い栄養素を腸内に送り込むことで、消化が遅くなり空腹になりにくく、常に未消化物が腸内に残るという、逆の効果が発生する訳です。

(2)プッシュ・アウト効果

でんぷんを多く含む炭水化物を水分などと一緒に摂取すると、胃が膨らみます(胃の「風船効果」)。そして、消化が良い副菜(おかず)と組み合わせれば胃の滞留時間は短くなり、勢いよく押し出されます。そして腸が活発に動き出します。

親子丼そばセット

例えば、親子丼セット(そば付き)を考えて下さい。

食べて胃は膨れますが、消化が良いために胃が活発にスムーズに動き出します。私は胃腸の調子が悪く、便秘や下痢で苦しむことがよくありましたが、何度かこれで解消されたことがありました。

それに対し、揚げ物や中華料理などを食べると 「スタミナがつく」 と思うかも知れませんが、それは 「腹もちがいい、エネルギーが持続する」 ということです。言い換えれば、胃の滞留時間が長くなり消化が遅れるため、腸内飢餓状態をつくりにくくします。

まとめ

(1)端的に言うと、人が消化できない食物繊維や、消化吸収が遅い食べ物をたっぷり食事に組入れると、同じカロリー値の他の食事よりも太りにくいと言える。それに対し、食事の中で、消化の良い食べ物(精製炭水化物・蛋白質・超加工食品など)を組合わせると、太りやすくなる。

   
(2)炭水化物と一概に言っても、化学構造の違いにより、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖類などに分類される。

人が消化できない食物繊維とみなされるセルロース(多糖類)や難消化性オリゴ糖、レジスタントスターチなどは、太る原因とはならないし、むしろ健康上の観点から摂取したほうが望ましいと言える。

また、砂糖のような単純炭水化物(単糖、二糖)は一時的な体重増加や血糖値上昇を引き起こすかもしれないが、設定体重をアップさせるという意味では太る原因ではないと考えます。

  
(3)設定体重をアップさせる意味において、肥満の原因となる食べ物は、白ご飯・白パン、麺、ジャガイモなどのデンプンを多く含む消化の良い精製炭水化物(多糖類)であると考えます。これらは胃の中で水分とともに膨らむため(風船効果)、消化の過程において、腸内飢餓を引き起こしやすくする「希薄効果」「プッシュアウト効果」が考えられる。

  
(4)世界的に起きている貧困層での肥満も、安価な精製炭水化物(穀類、デンプン)やバランスの悪い食事(野菜不足など)が影響していると考えます。彼らの場合、カロリーの摂り過ぎでも、砂糖の摂り過ぎでもないことは容易に想像できるのではないでしょうか?

また、力士(お相撲さん)が体を大きくするためにあっさりした 「ちゃんこ鍋」と白ご飯を食べるのも理にかなっているのです。

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