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2017.03.27

カロリーと肥満の関係は熱力学で説明できるのか?

目次

  1. 「入るカロリー / 出るカロリー」と熱力学の法則
  2. 人体は化学反応の塊である
  3. 食べたカロリー量と体に吸収された量は同じではない
    (1)何をもって「摂取カロリー」とするのか?
    (2)エネルギー摂取量が増えるとき

   <まとめ>

まず、こちらの記事を先にお読みください。

 カロリーの歴史はやはり神話なのか?

1900年代初期にカール・フォン・ノールデン(ドイツ人の糖尿病専門家)が「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから肥満になる」と初めて主張されました。

つまりこの主張が現代まで脈々と続いて、多くの専門家は「カロリーの摂り過ぎや運動不足が太る原因である」と言う主張に強い確信をもつようになったようです[1]。今回は、その理論の根拠とされた「熱力学の法則」(エネルギー保存の法則)について説明したいと思います。

1.「入るカロリー / 出るカロリー」と熱力学の法則

「人はなぜ太るのか」ゲーリー・トーベス著 より引用)

熱力学には3つの法則があるが、専門家たちが「人はなぜ太るのか?」を決めているとするのは第一法則である。

この法則は『エネルギー保存の法則』としても知られ、「エネルギーはつくられることも壊されることもなく、単に1つの形から別の形へと変わる」ということを示しているだけである。

たとえば、ダイナマイトを1本爆発させると、化学的に結合したニトログリセリンの潜在エネルギーが熱と爆発の運動エネルギーへと変換される。
すべての質量はエネルギーからできているため、別のいい方をすれば、私たちはゼロから何かを、または何かからゼロをつくることはできない。

花火

これ(熱力学の第一法則)はとても単純なため、専門家たちがどのように法則を解釈するかが問題となる。

この法則は「何かが大きくなったり小さくなったりするには、より多くのエネルギー又はより少ないエネルギーが、そこから出るよりもそれに入らなければならない」としているのである。この法則はなぜそれが起きるのかについては何も示していないし、その原因と影響については何も言っていない。

(略)論理学者はこの法則には、原因についての情報が全く含まれていないと言うだろう。
      

▽ここで「人はなぜ太るのか」について話す代わりに「部屋がなぜこんでいるのか?」という話を考えてほしい。

ここまで私たちが論議してきたエネルギーは、脂肪組織だけではなく、人間のからだ全体に存在する。つまり10人の人間はそれ相当のエネルギーをもち、11人はより多くもち....という具合である。(略)

もしあなたが私に「部屋がなぜこんでいるのか?」という質問をしたとして、私が「そうだね、それは部屋を出た人よりも入った人のほうが多いからだよ」と答えたとすれば、おそらくあなたは私が賢いか、あるいはバカであると思うであろう。

あなたは「もちろん、それは明白だ。しかし、何故か?」と聞くであろう。

実際、「出るよりも入る人が多いから混んでいる」というのは、同じことを2つの違う言い方で表すことであり、意味がないのである。

▽さて、肥満に関する社会通念の論理を借りて、この点を明らかにしたい。

私が「あのね、出るよりも入る人が多い部屋は、混んでいるだろう。熱力学の法則を避ける方法はない」と言ったとする。するとあなたは、「それはそうだが、それがどうした?」と答えるか、私は少なくとも、あなたがそう言うことを期待する。なぜなら、私はまだ原因についての情報を与えていないからである。

「過食が私達の肥満の原因である」と結論づけるために熱力学を利用すると、このようなことが起きる。

eating snack

▽米国国立衛生研究所(NIH)は、インターネット上で「肥満は、人間が消費する以上のカロリーを食物から摂取すると起きる」といってい る。

NIHの専門家たちは実際のところ、起きる」という言葉を使うことにより、過食が肥満の原因であるとはいわず、単に必要条件であるといっているのである。

専門的にいうと彼らは正しいが、そのとき「わかったよ、だからどうした? 肥満が起きたとき、次に何が起きるかということは話してくれるけど、なぜ肥満が起きるかについては話してくれないんだね?」というかどうかは、私たち次第である。(引用以上)
(ゲーリ-・トーベス . 2013.「人はなぜ太るのか」.  Page 83-6.)

2.人体は化学反応の塊である

(「やせたければ脂肪を摂りなさい」ジョン・ブリファ著より引用)

第1法則は、「エネルギーはつくり出すことも消滅させることもできない」というものです。言い換えると、エネルギーをひとつの形態から別の形態に変換することはできても、宇宙のなかのエネルギーの総量は一定のままなのです。

この法則が体重管理にどう当てはまるのでしょう?
ある人の体重が長年安定しているとしましょう。第1法則によると理論上は、この人が食べ物のかたちで摂取するカロリーは、その人が代謝と活動で消費するカロリーと等しいことになります。つまり 「入るカロリー = 出るカロリー」です。


ところが、熱力学の第1法則は実は「閉鎖系」についての法則です。
この系は、周囲の環境と熱やエネルギーのやり取りはできても、物質のやり取りはできません。これは人間に当てはまるのでしょうか? 

化学反応

当てはまりません。
人間の体は実際、おもに食物や糞尿などの老廃物というかたちで、物質を周囲の環境とやり取りしています。

さらに厳密に言うと、第1法則は化学反応が起こらない系についての話です。しかし人体は基本的に化学反応の塊です。

したがって、やはり熱力学の第1法則は、体重管理に関することには当てはまりません。 (引用以上)
(ジョン・ブリファ. 2014.「やせたければ脂肪を摂りなさい」. Page 58-9.)

3.食べたカロリー量と、体に吸収された量は同じではない

2人の著者が熱力学と体重管理に関する素晴らしい指摘をしてくださいました。これらの考えを踏まえて、私も熱力学と私の理論の関係について2点言及したいと思います。


(1)何をもって「摂取カロリー」とするのか?

私も基本的に、ある人の体重が長年安定しているなら 『体に入るエネルギーと、体内で基礎代謝や活動に使われるエネルギー』は釣り合わないといけないと思っています。しかし問題はどの時点で私たちが「摂取」したと考えるかである。

食べる瞬間

私たちが食べ物を口に入れた時点でカロリーを計算し、それを『摂取カロリー』 と考えるなら、何割かの人にとって、それは消費されたエネルギーとは釣り合わなくても不思議でない。

なぜなら、ブリファ氏が指摘されたように、私たちの体は「閉鎖系」ではないからだ。

腸内細菌学者が「胃腸は体の外部」と考えるように、腸から実際に吸収されたエネルギーを摂取カロリーと考えるのであれば、より「閉鎖系」に近づくはずだ。

          

もちろん、1人1人の吸収効率の違いを計算するのは不可能であるため、現在のところ、私たちはアトウォーター係数を元に個別の食品のカロリー値を決め、それらを合計することによって一日の総摂取カロリーを決定するのだが、あくまでそれらは推定値か近似値である[2]ということを知っておくべきである。

実際に吸収される栄養やエネルギー量は、調理の仕方、食品の消化性(加工度)、食品の組合せ、運動の強度、空腹度合などによっても変化すると私は考えている。

ノールデン氏の主張「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから肥満になる」はある意味で正しいが、どの時点で「私達がエネルギーを摂取したのか」については曖昧であるのです。
   

(2)エネルギー摂取量が増えるとき

私の腸内飢餓メカニズムを元に説明すると、長年同じ体重を維持している人が、普段食べているカロリー摂取量(例えば、毎日約2,000kcal) や糖質の摂取量を大幅に減らしても、腸内飢餓を引き起こす「3要素+1」の基準を満たせば、体重がアップすることがある (これは絶対的な吸収率がアップし、設定体重が上昇したことを意味する)。

【関連記事】 

 偏食と不規則な生活が腸内飢餓をつくる(3要素+1)


もちろん太るのは、その後に元の食事に戻したときであるが、この場合、吸収率そのものが以前よりアップしているので、体重の増加には体脂肪だけでなく、徐脂肪組織の増加も含まれる。つまり、食べる量や摂取カロリーは以前と同じであっても、以前よりも多くのエネルギーや栄養素を体内に取り込んでいるので、体が大きくなったといえるだろう。

トーベス氏の言葉を借りれば、「10人で混んでいた部屋が11人になった」と言えるが、この場合、それを引き起こした原因は腸内飢餓であると言える。

まとめ

(1)専門家たちが、「消費するより多くのカロリーを摂取するから太る」と考える根拠は『エネルギー保存の法則』(熱力学の第一法則)である。

  
(2)人の体は化学反応の塊で、「閉鎖系」ではないため、実際に食べた(口に入れた)カロリー合計と消費カロリーを比較することは意味がない。この場合、「熱力学の法則」は成り立たない。

  
(3) 実際に腸で吸収されたカロリーをベースに考えると、より「閉鎖系」に近づき、代謝や活動によって消費されたカロリーと釣り合うはずである。

  
(4) 腸内飢餓が引き起こされれば、以前と同じ量を食べていたとしても、設定体重そのものの上昇を示唆する体重増加が発生することがある。
この場合、吸収率そのものがアップし、体により多くのエネルギーや栄養素が取り込まれることを意味するので、体重の増加は体脂肪だけでなく、徐脂肪組織の増加も関係する。

<参考文献>

[1]Gary Taubes. 2010. 「人はなぜ太るのか」. メディカルトリビューン. Page 82. 

[2]Rob Dunn. 2013.「科学が明らかにしたカロリー計算の誤り」. Scientific American.

2017.03.07

カロリー意味あるの?カロリーの歴史はやはり神話なのか?

目次

  1. 「入るカロリー / 出るカロリー」説の誕生
  2. 今もなお、増え続ける肥満
  3. ノールデン氏の書物

私はリサーチのプロにお願いし、国立国会図書館で『カロリーの摂取量が消費量よりも多いから太る』というような関連の論文を1900年前後から探してもらいましたが、今回は探すことはできませんでした。(このブログの最後に若干の成果を報告します。)
やはり頼りになるのは、この本(「人はなぜ太るのか」)しかありません。ほとんどが引用になるのですが、ご了承ください。

1.「入るカロリー/出るカロリー」説の誕生

(「人はなぜ太るのか?」ゲーリー・トーベス著より引用)

1900年代初期にドイツ人の糖尿病専門家 カール・フォン・ノールデン(carl von Noorden)「私たちは消費するよりも多くのカロリーを摂取するから肥満になる」と初めて主張して以来、専門家もそうでない人も、ともかく熱力学の法則(エネルギー保存の法則)により、これが真実だと決められていると主張してきた。

そうでないと主張すること、つまり私たちが過食と座りがちな行動と対をなす「罪」以外の原因によって肥満になるかも知れないこと、あるいは意識的に食べる量を減らさなくても、あるいは運動を増やさなくても脂肪が減るかもしれないことは、コロンビア大学の医師ジョン・タガートが1950年の肥満に関する会議の挨拶で「感情的で無根拠」と断言したように、いつも「インチキ」として扱われてきた。彼は「私達は、熱力学の第一法則 の妥当性に絶対的な確信をもっている」と付け加えた。

宇宙

そのような確信は誤りではない。しかし、それは肥満になることについて「熱力学の法則」が他の物理学の法則以上に物語ることを意味するのではない。

ニュートンの運動の法則、アインシュタインの相対性理論、量子論などが宇宙の特性を示すものであることはもはや疑問の余地はない。しかし、熱力学の法則は 「なぜ人は太るのか?」 については説明していない。

このたった1つの単純な事実(熱力学の法則)を専門家達が理解できなかったために、驚くほど間違った助言がなされ肥満問題の拡大につながった。

熱力学の法則が肥満の説明になっているという誤った解釈がなかったら、「消費するよりも多くのカロリーを摂取するから太るのである」という見解そのものが存在しなかったであろう。
(ゲーリ-・トーベス. 2013.「人はなぜ太るのか」. メディカルトリビューン. Page 82-3.)

(~略~)"1934年、ヒルデ・ブルッフ(Hilde Bruch)というドイツの小児科医が米国(ニューヨーク)に移住した。彼女はそこでの肥満の子供の数に驚嘆したという。診療所だけでなく、街頭、地下鉄、そして学校に肥満の子供があふれていた。それは、マクドナルドの1号店の生まれる20年も前のことであり、さらに付け加えると、その年は大恐慌の真っ只中である。

ブルッフは肥満の子供の治療のために尽力した。多くの肥満の子供たちは、医師から指示される通り、食べる量を減らし体重をコントロールすることに多大な労力を費やしたにもかかわらず、結局は太ったままであったという。

医者

ブルッフの時代の医師も今日の医師たちも考えが足りないわけではない。彼らは単に、私達が太る理由は明白で議論の余地のないとする『欠陥のある信念体系(パラダイム)』を持っているだけである。

太る理由は、食べ過ぎているか運動が少なすぎるか、その両方であり、したがってそのをすることが治療になると医師たちは言う。(~略~)

▽世界保健機関 (WHO) は「肥満と過体重の根本的な原因は摂取したカロリーと消費したカロリーのエネルギー的不均衡である」といっている。

消費する以上のエネルギーを摂取すれば (科学用語ではプラスのエネルギーバランス)太り、摂取する以上に消費すれば (マイナスのエネルギーバランス)やせる。

食物はエネルギーであり、私たちはそれを「カロリー」として測定する。したがって「消費する以上のカロリーを摂れば太り、消費するよりも少なく摂ればやせる」のである。

運動

体重に関するこの考え方は非常に説得力があり広く普及しているため、 現在それを信じないというのは、ほとんど不可能である。たとえ私達がそれに反する証拠 (日常生活でいくら意識的に食べる量を減らし、 運動量を増やしても成功しない)をたくさん持っていたとしても、「私たちが摂取・消費するカロリーによって肥満が決まる」 という概念よりも、自分たちの判断と意志の力のほうを疑うだろう。"
(「人はなぜ太るのか」, Page 10-14.)

2.今もなお、増え続ける肥満

肥満女性
(引き続き「人はなぜ太るのか?」より引用)

"肥満の流行を考えてみよう。
50年前、表向きは米国人の8~9人に一人が肥満と考えられていたが、今日では3人に1人が肥満であり、過体重まで含めると3人に2人となる。

この数十年間の肥満の蔓延において「入るカロリー/ 出るカロリー」のエネルギーバランスの概念が幅をきかせたため、公衆衛生を担当する役人たちは、その原因を、私達が彼らの指示(運動をすること、食事を減らすこと)を守らないからだと思い込んでいる。

1998年マルコム・グラッドウェル (ジャーナリスト)は、雑誌 「The New Yorker」でこの矛盾をついた。

彼は「私達は摂取するカロリーを減らし、運動をしなければ体重が減らないことを教えられてきた」と書いた。さらに、「実際にこの勧告についていける人がほとんどいないということは、私達の力不足、あるいは勧告に欠陥があるからである。医学の通説は自然と前者の立場を、ダイエット本は後者の立場をとる傾向にある。医学の通説が過去にどれほどの間違いを犯したかを考えると、それは不合理ではない。彼らの勧告が正しいかどうかを検証する価値はある」 と述べている。"
(「人はなぜ太るのか」, Page 14-5.)

(ゲーリー・トーベス氏)
"肥満は、エネルギーバランス、あるいは「入るカロリー/ 出るカロリー」または過食による異常、熱力学とは何の関係もない。もし私達がこれを理解できなければ、「なぜ太るのか?」という問題に対し、これまでの慣習的な考え方へと後退し続けてしまう。それがまさに1世紀にわたって続く泥沼である。"(引用以上)
(「人はなぜ太るのか」, Page 83.)
    

3.ノールデン氏の書物

テレビ番組ではあいかわらず、医師や栄養士が「消費された以上に食べれば太るのは小学生でも分かることです・・」「太る原因は食べ過ぎか、運動不足です・・・」と自信満々に言っているのを見ると、私は本当に嫌な気持ちになるんです。
しかしそれって、凄く薄っぺらで、いかに根拠のない事柄であるかがお分かり頂けたかと思います。

以下の記事で「熱力学の法則」についてより詳しく説明します。

【関連記事】→『肥満とカロリーの関係は熱力学で説明できるのか』

また冒頭で、若干の成果といいましたが、カール・フォン・ノールデン氏の書(論文?)を入手することができました。これも翻訳して、皆さんに紹介いたします。
      

ノールデンの書
ノールデン書(メタボリズム)

「代謝と実践医学」(Chapter Ⅲ、”Obesity(肥満)” )

2017.02.11

糖質制限(炭水化物抜き)賛成派 VS 反対派の言い分

<目次>

  1. 糖質制限、反対派の意見(まとめ)
  2. 賛成派の意見(まとめ)
  3. 糖質制限の欠点を補う『ロカボ』
  4. 極端を避ける(私の意見)

【関連記事】いま話題のロカボ。炭水化物を減らす意義

古くから糖質制限食(炭水化物抜き)をめぐっては、意見が対立してきました。それは、カロリーが太る原因なのか、それとも糖質(炭水化物)が太る原因なのか?ということだと思います。

そこで、糖質制限食の賛成派と反対派の意見をまとめました。その理論は、今となっては少し古いものも含まれますが、過去の経緯としてまとめましたのでご覧ください。

1.糖質制限、反対派の意見(まとめ)

高たんぱく食
(参考文献:「本当は怖い糖質制限」 岡本卓 著)

<2001年>
アメリカ心臓協会が、国際的に評価の高い医学誌の中で、「今日あまりにポピュラーとなった低糖質・高たんぱく質食について反対を表明し、強い警告を発する」と公表した。

その理由は、「肉や脂肪などに偏った糖質制限食ではビタミンなどのミネラルが不足し、結果として心臓、腎臓、骨、肝臓に由々しき問題を抱えることになる」と強調している。

■反対派の主な意見

)糖質制限に対するオフィシャルな定義(糖質をどこまで抑えれば良いか)、ガイドラインが示されていないうえ、長期的に糖質制限を行った場合の体への影響に対する科学的データはほとんどない。

)糖質以外なら、肉や脂肪をたくさん食べて良いという糖質制限食は、カロリーの原則に反する。

)糖質制限食は高脂質食でもあるため、コレステロール値を上げて、心筋梗塞や脳卒中などの心血管病を引き起こすだろう。(2012年、アテネ大学etc)

)ミネラル・微量元素不足を引き起こす。タンパク質を多く摂ると、腎臓からのカルシウム排泄が増え、骨粗しょう症になりやすい。

)厳格な血糖コントロールは低血糖のリスクを高め、死亡率を上昇させる。血糖コントロールはほどほどが良い。(2008年、アメリカ国立衛生研究所)

)低血糖がうつ病・認知症のリスクを高める。

日本では、2012年に第55回糖尿病会で糖質制限食を食事療法の一つのオプションとして認めるという画期的なものだったが(糖質1日最低130gは摂る)、2013年には従来のカロリー制限食優先に戻り、糖質制限食については安全性などの確保の面から勧められないとのスタンスに変わった。(「本当は怖い糖質制限」(2013年)より)(引用以上)

2.賛成派の意見(まとめ)

■賛成派の主な意見

(参考文献:「人はなぜ太るのか?」 ゲーリー・トーベス著)

)人類の歴史上、炭水化物(穀物)を食べているのは僅かで、それまでは主に肉や脂身、野菜で生活していた

(2)カロリー制限食では均等にカロリーを減らすか、脂肪からのカロリーを優先的に減らすことになる。これは太ることのない脂肪やタンパク質を減らし、太りやすい炭水化物を相対的に多く食べることとなる。この食事法はあまり効果がなく、常に空腹がつきまとう

)食事に炭水化物がなくても、肉や脂肪をとっているから脳の栄養源として「ケトン体」を燃料とすることができる。

摂取する脂肪(脂質)=『体脂肪』ではない。低脂肪・高炭水化物食が公式に承認されたことで、心臓病の発症は減るどころか、肥満や糖尿病はむしろ増えている。

)野菜やチーズ・魚・肉などは制限していないので、ミネラルなどが不足することはない。カロリー制限食の方が均等にカロリーを減らすとすれば、すべての必須栄養素も減ることとなる。

)カロリー制限食も、体重減少に関する明確なエビデンス(科学的根拠)がないのに、なぜ糖質制限食のみに厳格なエビデンスを求めるのか?

3.糖質制限の欠点を補う『ロカボ』

白米2
(「糖質制限の真実-日本人を救う革命的食事法 ロカボのすべて-」山田悟著より引用)

ロカボは、1日あたりの糖質量を70~130gに抑えて食べる食事法です。(1食あたりの糖質量を20~40gにし、それを3食、間食で10g )

【食事の幅が広がった・続けられる】
現在の日本人は平均的に、1日では270~300gの糖質を食べていますので、ロカボではその半分弱に抑えるという感覚になります。
つまり、緩やかな糖質制限であるということです。これにより、食べられるものの幅はぐんと広まり、美味しく楽しく食べて健康になれる食事法と言えます。
また、糖質を食べるのをやめるのではなく、いかに上手に食べるかという考え方がベースにあります。低糖質な素材でつくったパンやパスタ、うどんなどのロカボメニューもあります。基本的に食べてはいけないものがないうえに、満腹になってもいいので続けやすいのです。

ダイエット

【ダイエットのみなら緩く】
例えば糖尿病の患者が治療としてやる場合は、やはり糖質の制限値にはある程度こだわった方が有効性は高くなります。
その一方、健康増進やダイエット、美容として取り入れたいという健常者に関しては、制限値に厳密にこだわらなくてもいいと思います。たまに高糖質なものを食べる日があっても、それまでの努力が全く無になることは起こりません。

【ケトン体が出るのを防ぐ】
普通の糖質制限と違うのは、最低でも1食あたり20g以上の糖質を摂ることで、ケトン体が出るような極端な低糖質状態を防いでいます。極端な糖質制限のリスクが示唆されている以上、まだ積極的にやるべきではないというのが私(山田医師)のスタンスです。

<ケトン体>

人間を含め、動物はブドウ糖と脂肪酸を主なエネルギー源にしています。しかし人間の脳は脂肪酸が入っていけないため、ブドウ糖を好みます。また赤血球はエネルギー源としてブドウ糖しか使うことができません。長期間ブドウ糖が摂れない状態が続くと、脳はブドウ糖を赤血球にゆずります。

その時、脳がエネルギー源として使うのが脂肪酸を分解してつくられる『ケトン体』という物質です。確かに脳はケトン体で生きていけますが、一方で血中にケトン体が溜まってくると、体が酸性に傾きケトアシドーシスという意識障害が起こることがあります。

【エビデンスレベル1での証明】
歴史の中で、糖質制限はエビデンスレベル4(症例報告)だけで世の中に広まってしまったので、糖質制限食事法は叩かれ、信頼を築くことができず、民間療法の扱いに留まっていました。

しかし、2007年~2008年にかけてのエビデンスレベル1(無作為比較試験)の論文により、「カロリーは気にせず、糖質のみを控える(1日あたり120g以下に設定)」という食事法が「カロリーや油を控える」食事法よりも肥満、血糖管理、血液中の脂質の改善に有効であるということが証明されたのです。
つまり、民間療法扱いから確固たる根拠のある食事法とかわったのです。(引用以上)

4.極端を避ける(私の考え)

肥満や糖尿病等の治療において、『カロリー制限』による食事療法には効果がないことが実証されつつあります。

だからと言って、『炭水化物が悪者だ』と言うような厳格な糖質制限にも賛成はできません。糖質(炭水化物)は私達の貴重なエネルギー源であることには変わりはないし、そこは医者などが言うようにバランスに一理あると思います。


私のスタンスとしては、糖質をある程度減らすことはダイエットに有効だと思いますが、極端な方法は良くないと考えます(ロカボに近い)。「炭水化物が私たちを太らすのか、それともカロリーか?」ではなく、もう少し考え方を変える必要があるのです。

私の理論上、太る原因は糖質そのものではなく、精製された炭水化物(多糖類)と偏食、野菜不足などにより引き起こされる、腸の『飢餓状態』です。つまり炭水化物(多糖類)が直接的ではなく、間接的に飢餓状態を作りやすくし、肥満に寄与しているということです。ですから対処法としては、腸の中に未消化の食べ物を多く残すと言う意味で、「炭水化物をある程度減らし、おかず(副食)を増やす」ことが必要と考えています。

2016.11.22

食事、運動、体重の関係性を間違えている

目次

 <はじめに>

  1. 「食事と運動」の関係は、専門家にとっては良い言い訳け
  2. エネルギーを出せば、また戻ってくる
  3. 『食事が優先している』とは、どういうこと?

 <まとめ>

<はじめに>
スポーツをしている人には痩せている人が多いという事実、また現役を引退した後に太ったスポーツ選手などを見ていると運動=痩せる』という公式ができそうです。

大抵の専門家はこういう見方ですが、運動と体重の関係性は、これほど単純ではないはずです。

  
今回は、私の理論に基づいて、「食事、運動、体重」の関係性を具体的に説明したいと思います。

自転車レース

1.食事と運動の関係は、専門家にとっては良い言い訳け

診察

まず運動しても痩せなかった人達に対して、医師など専門家は「結局、どこかで食べているのでしょう~」と言うだろうし、カロリー制限しても痩せない人(少なく食べても太ってしまう人)に対しては、「運動不足じゃないですか?・・・」と言いますよね。

つまり、食事と運動は「入るカロリー/出るカロリー」の関係として考えられていたために、専門家のいろんな口実として利用され、その関係性は深く考えようとすらされてこなかったのではないでしょうか?

2.エネルギーを出せば、また戻ってくる

まず、「過食すれば必ず太る/運動をすれば痩せれる」 と考える人は、図-1のように見ています。

摂取と消費が対立する関係で、その大小関係により太るんだ(又は痩せるんだ)と考えます。

入る,出るカロリー

<図-1>

しかし、実際は 図-2のようになるはずです。

私たちが食べる物と体内で使われるエネルギーは、吸収により媒介される為、エネルギー消費が増えれば、吸収率はアップし、ホルモンの変化を通じて食欲がさらに沸きます。

逆に、何もせずに休んでいる時に、空腹でもないのに食べる量や回数を増やせば、吸収率は低下します。

エネルギー循環

<図-2>

運動をすれば確かにより多くのエネルギーが消費されますが、体の消費されたものを取り戻そうとする逆の調整機能が働きます。

つまり、運動は基本的にエネルギーの循環を活発にし、体に活力を与え、体を強くする(最終的には、エネルギーを蓄え、太る)方向へ作用する力です(特に、筋肉への抵抗運動)。

食事風景

ただし、太るかどうかは『食事』の摂り方で決まります。常に『食事』が優先しています。


「運動を日常的にしている人は、いくら食べても太らない」という錯覚が生じるのもこのためです。

3.『食事が優先している』とは、どういうこと?

簡単に説明すると、運動することが、体に最終的にエネルギーを蓄えようとするパワーであっても、何らかの消化されない食べ物が常に腸内に残る状態では、結果として腸内飢餓が起こらず、設定体重がアップしないということです。

より詳しく説明するために、パターン別に見ていきたいと思います。

(1)常に運動していて、痩せている

まず、ブリファ氏(「痩せたければ脂肪をとりなさい」著者)が言われるように、「もともと痩せている人がマラソンやサッカーを始め、最終的にはアスリートとなっていくのではないか・・・」[1]考えた方がひねくれた見方かもしれませんが正しいのではないでしょうか。

その人達は自分が食べても太らないことを知っています。それゆえ、アスリートの多くは栄養バランスのとれた3度の食事と、その他にも栄養補助食品やお菓子なども食べます。

和朝食

それは我々が運動をしようとする時、「栄養を摂らないといけない」「しっかり食べないといけない」という心理が働くからです。

つまり、元々痩せている人がサッカーやマラソンなどのスポーツを始め、3食バランスよく食べてきたからこそ、腸の飢餓メカニズムが起こらず、同じ体重を長年にわたり維持できるのです。

もちろん筋肉は鍛えられるから、スリムでかつ筋肉がつき、引き締まったボディーになる。

(2)運動しなくなって太る

逆に、仕事はデスクワーク又は軽作業で、最近は運動もしていないからこの数年で3~4kg 太ったという方がおられます。

しかし運動をしないことよりも、食事を抜いたり・軽く済ましたり、炭水化物に偏ったバランスの悪い食事になること、又は食事の時間が不規則になることの方が問題です。これは、腸の飢餓メカニズムが引き起こされやすくなるからです。

デスクワーク

今日は一日何もしなくてもいい時や、軽作業をしている時、我々は心理的に「食事を軽くしよう~」としたり、栄養バランスに疎くなる傾向があるのではないでしょうか?

ひょっとしたら、朝食も食べないで出社するかもしれないし、昼食もラーメン・サンドウィッチ・ハンバーガーのような簡単なもので済ませるかもしれない。

この場合、運動時にくらべて、体の栄養を取り込もうとする力は弱まりますが、逆に空腹で長時間過ごせば、腸内飢餓状態はできやすく、長い目で見ると設定体重がアップする可能性があります。

また、スポーツ選手が引退後に、消費するカロリーが減り食べる機会が増えることによって、数キロ太ることもあると思いますが、それはダイエット後にリバウンドするのと同じで、設定体重に戻るメカニズムであると考えます。

もし、3~4年で10キロ以上の体重増加があったというのであれば、上記で説明したように、食習慣が変わったことによる影響の方が大きく、腸内飢餓が引き起こされたことによる体重増加によって説明できると思っています。

(3)運動して太る

格闘家やお相撲さんはもちろん運動していますが、競技の性格上、筋力や体重をアップすることが時として必要になります。しかし格闘家の一部にとっては、3度の食事の他にプロテインなどを摂取しても、筋力や体重が中々増えないという話はよく聞きます。

しかしそれに反して、太りたくないという人達がいとも簡単に太ってしまうのは、何度も言うように、太る(設定体重がアップする意味で)ためには腸の飢餓メカニズムが必要だからです。

バーベルなどを使う強度の高い筋力運動では、体の失われたエネルギーを回復しようとする調整機能は、有酸素運動に比べさらに強力に働きますが、カロリーや栄養をもっと摂ろうとして、毎日4~5時間おきに食事やプロテインなどを摂取すると、未消化物が腸の中に残りやすくなり、結果的に設定体重がアップするのを妨げる可能性があるのです。

運動で高まる吸収率
<体重をアップするのに理にかなった力士の食事>

お相撲さんは、体が大きく太っているので有名ですが、彼らの食事は伝統的に、1日3回ではなく2回です。しかも脂っこい食事ではなく、消化の良いチャンコ(鍋で肉や野菜を煮込んだ料理)とご飯をたくさん食べます。そのため、彼らの食べた物は消化されやすくなり、腸内飢餓が引き起こされれば、設定値の上昇を示唆する体重増加が起こりえます。

【関連記事】
お相撲さんが太るのも、飢餓メカニズムと言える

  

腸内飢餓が誘発された時に体重がアップする仕組みは、以下のブログで詳しく説明していますが、腸の絨毛(じゅうもう)から微細な物質が剥がれることで吸収する面積が広がり、絶対的な吸収力がアップすると私は考えています。

そして、筋力に負荷をかける抵抗運動(特にリフティングなど)を定期的にすることによって、そのメカニズムが通常より加速されるのです。

つまり力士の食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法であると言えます。

【関連記事】
腸の飢餓状態でなぜ太るのか?

   
小腸内部と絨毛図

まとめ

(1)食事と運動の関係性は、単純にエネルギーが「入る/ 出る」の関係ではない。栄養やエネルギーは腸の吸収により媒介されるため、運動によって失われたエネルギーを取り戻そうとする逆の調整機構が作用する。基本的に、運動(特に強度の高い運動)は体を強くする方向へ、最終的には、太る方向へ働きかける。

  
(2)しかし優先順位は常に「食事」の摂り方にある。毎日、バランスよく3度の食事を摂ることで、未消化物が腸内に残りやすくなり、設定体重はアップしにくくなる。元々痩せている人達が陸上競技、サッカーなどを始め、バランスの良い食事を3度食べることで、彼らは太りにくく、同じ体型を長年維持できる。

  
(3)人は何も運動をしない時又は軽い作業時に、食事を抜いたり、または簡単な食事で済ます傾向がある。その場合、体の栄養を吸収し脂肪を貯めこもうとする調整機能は運動時に比べ弱いが、逆に空腹でいる時間が長くなり、腸内飢餓が起こりやすくなる。結果として体重の設定値はアップしやすくなる。

   
(4)お相撲さんの食事の摂り方と運動は、筋力や体重をアップさせるには、理にかなった方法である。消化の良い食事を沢山食べ、1日2食にすることで、腸内飢餓が引き起こされやすくなる。激しいトレーニングはそれを加速する。

   

参考文献:

[1] ジョン・ブリッファ. 2014. 「痩せたければ脂肪をたくさん摂りなさい」. 朝日新聞出版. Page 226.

2016.09.29

ダイエットは、運動よりも食事の改善

目次

  1. 消費するカロリーの僅かな利益
  2. 食事内容を改善することの方が重要

 (1)広告におどらされて
 (2)運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている
 <まとめ>

まずは「痩せるためには運動は必要ないとしたら?」を先にお読みください。

上記の記事で「運動が本当に、体重を軽くするのに役立つのか?」という事について見てきましたが、、それについてもう少し詳しく見てみましょう。

1.消費するカロリーの僅かな利益

(「人はなぜ太るのか?」より引用)

"1942年にミシガ ン大学のルイス・ニューバーグが計算したところ、体重 250ポンド(約110kg)の男性はひと続きの階段を上がるのにkcalを消費する。

つまり「(薄くスライスした)食パン1枚に含まれるエネルギーを消費するために、一続きの階段を20回上がる必要がある」のである。

では、なぜ階段を上がることを止め、パンを抜いて1日を終えないのか?

もしその男性が1日に20の階段を余計に上るとして、その日のうちに1枚のパンと同等の何かを食べない確率はどのくらいだろうか?

(ゲーリ・トーベス. 2013.「人はなぜ太るのか」. Page 57.)

▽その他の専門家たちは、ランニングのような純粋にカロリー消費の増加を狙った有酸素運動よりも、ウェートリフティングやレジスタンス運動で体重を減らせると議論するようになった。

ここでの発想は、筋肉を増やして脂肪を減らすというもので、脂肪と筋肉を入れ替えることで体重は変化しなくても、より健康になるというものである。また筋肉は脂肪よりも代謝的に活発で、より多くのカロリーを消費するため、余分な筋肉は減少した脂肪を維持することに役立つだろう。

筋トレ、女性

しかし専門家たちはこのような議論をするときに、いつも実際の数値を無視した。それは数値が見栄えしなかったからである。

もし私たちが約2キロの脂肪を2キロの筋肉に置き換えたとすると(これはかなりの成果であるが)、エネルギー消費の増加量は1日あたり24kcal である。

この量は、またしてもパン1切れと等価のカロリーについて話すことになり、消費エネルギー量が24kcal 増えても24kcal 分余計に空腹にはならないという保証はない。

そしてまたしても、パンとウェートリフティングの両方をやめておいたほうが楽かもしれないという見解に戻ってしまうのだ。"
(Pages 64-5.)

2.食事内容を改善することの方が重要

ウォーキングやジョギングなどの運動は、慢性疾患の予防や心身の健康の為に必要なのは間違いないと思うのですが、上記「1」で詳しく見たように、"カロリー消費" という観点からはそれほど有効とは思えません。運動で瘦せたという人は、むしろ、食事の改善(栄養バランスや食べる回数などの摂取方法)をセットで行っているのではないでしょうか? 

これに関して、運動の専門家が書かれた本がありますので、今回はそれを元に少し深堀りしてみたいと思います。

運動指導者が断言。ダイエットは運動1割、食事9割」【森 拓郎著】

森さんは自らがフィットネスクラブに5年間在籍し、運動指導者でありながらも、痩せるのには運動だけでは無理だと言われています。

(1)広告におどらされて
(「ダイエットは運動1割、食事9割」より引用)

"運動指導者として沢山のクライアントを見てきました。しかしそこで見たものは、長く在籍しているのに痩せないクラブ会員様、そして何よりそこで働いているのに痩せないスタッフでした。(略)

ダイエットの中心にくるのはあくまで食生活の改善であり、それを支えるためのメンタルも大切になってきます。運動に関しては、それらのウェイトに比べて非常に小さくて、食とメンタルさえ何とかなれば、運動指導を省いてもほぼ良い結果がでてしまうと考えます。

さまざまなダイエット関連の誇大広告に騙され、効果的な運動をすれば誰でも痩せられると、知らないうちに思わされていた自分がいたのも事実です・・・。(略)それはあくまで広告のお話ですから、客を惹きつける誇張であって当然。そのせいで、良識ある一般人の感覚までがおかしくなっている。

(2)運動を謳うダイエットは、必ず食事指導をしている

私の今までの運動指導、ダイエット指導の経験を通して痛感することは、実はほとんどの人は、運動だけのダイエットで結果をだせないということです。
多くのクライアントと接するうちに成果の出なかった人の傾向が見えてきました。彼らは、「好きな物を食べながら痩せたい」「食生活は変えたくない」・・・という食生活に問題のある人ばかりだったのです。

体の痩せるメカニズムを考えると、食事のコントロール以上に効果的なダイエット法はなく、そこに必要な分の運動を足すという考え方が適切です。

巷のダイエット本を手に取ってみても、ある特定の運動法の説明をしていても、食事について少なからず書いてあるものがほとんど。

ダイエット成功者は運動ではなく、食事の改善でやせているのです。(略)

体の綺麗なスタイルは運動がつくり、体重やサイズを減らしたいのであれば、食生活を中心に改善していくという大前提を理解することが必要です。"
(森 拓郎. 2013.「ダイエットは運動1割、食事9割」)

これは私も伝えたかったことですが、運動の専門家の話のほうが、より説得力があると思い引用させて頂きました。

「運動で痩せれる」と謳っている本は、必ず食事の改善についても言及しています。最近の傾向としては、炭水化物・ジャンクフードなどを減らしつつ、肉・卵などの蛋白質、野菜、乳製品などをしっかり食べて運動するという様になってきているように感じます。

引き締まった体

しっかり食べて痩せたんだから、運動が体重を減らすことにかなり貢献しているように思われるかもしれませんが、それは誤解です。

食事の習慣を変えることで実は痩せることができ、運動はむしろ痩せた後の筋肉質で引き締まったボディーをつくると考えた方が良いかもしれません。

まとめ

(1) 運動で消費されるカロリーはそれほど多くない。運動はしていてもダイエットで結果を出せない人は、「好きなものは食べながら痩せたい」など、食生活に何らかの問題をかかえていることが多い。

  
(2) 痩せるためには、バランスの摂れた食事や摂取回数を増やしたりして、毎日の食事習慣を改善することの方がより効果的である。炭水化物の摂取量をある程度減らし、タンパク質・脂質・乳製品・野菜などを増やすことはすことは減量に役立つ。一方運動は、健康の増進、体力の維持、痩せた後の引き締まった体をつくることに役立つ。

  
(3) 運動が根本的に体重の減少に役立たないのは、「食事・運動・体重」の関係性が間違えて認識されている為である。

【関連記事】 食事・運動・体重の関係性を間違えている

       

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