トピックス
2016.02.24
相対的に少なく食べている、とはどういうことか?
目次
- 私の感じた違和感
- 柔道の例
- 配送センターの例
- 食べる量は同じでも、内面では違う
1.私の感じた違和感
私にはずっと違和感がありました。
職場で80キロ近い職場の友人(K君)と一緒に昼食を食べたとき、渡辺さん「もっと食べないと太らないよ・・・」と言われていましたが、Kも食べるおかずは同じです。ごはんの量が少し多いだけでさほど変わりません。
その違和感とは・・・・
友人Kの方が『相対的に少なく食べている』
私の方が『相対的に多く食べている』(量的にも、質的にも)ということです。。
2.柔道の例
はじめに、『柔道』を例として説明したいと思います。
下は45キロから、60キロ、上は90キロ近い選手が混じって練習をするとします。
45キロの選手は体重では自分より重たい選手とばかりあたるので、相対的にハードな練習をこなしていることになります。特に90キロの選手と当たるとなると、体重では2倍の差がありますし、力では絶対かないません。
逆に、90キロの選手から見ると、あたる選手は自分よりも体重の軽い選手ばかりで、相対的に楽な練習をしていると言えます。
つまり、「同じ練習をしただろ」と言っても、その人によって練習のきつさなどの感じ方はは異なるわけです。
3.配送センターの例
次に『配送センター』に例えて説明します。
毎日、荷物を分別して出荷するセンターがあったとします。処理能力500個の配送センターAと、処理能力800個の配送センターBがあったとします。
500個の荷物が来たとき、Aは一杯々ですが、Bはまだまだ余裕があります。700個の荷物が来たとき、Aは少しお手上げ状態で従業員も残業しなくてはいけませんが、Bはまだ余裕があります。
つまり、荷物として集まってくる量は同じでも、その配送センターの処理能力が異なれば内部で起こっている出来事は違います。
これを食べ物で考えるなら、センターに集まってくる荷物は『食べる量(経口摂取量)』です。
4.食べる量は同じでも、内面では違う
もう私が何を言いたいのかお分かりですよね~。
3人が一緒に昼食を食べたとします。会社の同僚とランチしたり、部活の友人などで食事に行って同じ物を食べることってよくありますよね~。
Aさん:90キロ
Bさん:55キロ
Cさん:45キロ
全員が同じ『ハンバーグランチ』を食べたとします。
食べた量(経口摂取量)として考えると、全員が同じ量・同じカロリーを食べたことになりますが、身体の大きさを考慮に入れると、45キロのCさんが相対的に多く食べていることになり、90キロのAさんが相対的に軽い食事をしていると言えます。
90キロのAさんは、Cさんに比べ身体も2倍近いし、当然胸板も厚く、胃腸の大きさも大きい。また消化する能力(消化酵素、胃酸の働き)も一般的に高いと考えることができます。
ここで、体のサイズに着目すれば、90キロのAさんは45キロのCさんよりも、量的に見て(相対的に)少なく食べていると言えます。消化力に着目すると、Aさんが、質的により簡易なもの食べている、とも言えます。
※『質的』とは、体重・体格が同じであったとしても、同じお肉1枚でも消化酵素の働きが強い人のほうが早く消化できてしまうということです。例えば、欧米人の方が、タンパク質や脂肪に対する消化酵素が平均的な日本人より強いということも言われています。
ここで、Aさんがご飯を大盛にしたとします。
経口摂取量として考えると、「やはりよく食べるから太っているんだな・・・」と思うかもしれませんが、身体の大きさを考慮すると(炭水化物は消化が良いので)、それでもAさんが "相対的に少なく" 食べていると言えます。
まとめ
(1) 腸内飢餓のメカニズムから言うと、全員が同じ量を食べたとしても、体の大きい人や消化力の強い人の方が相対的に少なく、又はシンプルな物を食べていると言えるでしょう。その人達はより空腹を感じやすく、食べる物によっては腸内飢餓をつくりやすくなり、さらに太りやすくなる傾向があります。
(2) また、欧米人やアフリカ人が多くのアジア人に比べて、肉や脂肪に対して早く消化できると仮定すると、同じものを食べていても彼らの方が平均的なアジア人より太りやすいと言えるでしょう。つまり、彼らが特別な肥満遺伝子を持っている訳ではありません。
2015.11.21
人も植物も反発する力(逆に働く力)が大きい
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- 反発する力の例
- 人が太るのも "飢え" に対抗する力と言える
- 反発する力の例
1.反発する力の例
人も植物も順応性というよりは反発する力(逆に働く力)が大きい。
何が関係あるの?と思われるかも知れませんが、最後までお読み頂けると幸いです・・・。
”少ししかなければ、摂り込もうとする力が強く働き、豊潤にあれば、摂り込もうとする力は弱まる。”
(1)稲を栽培するときに、1週間ほど水も肥料も与えないで土がヒビ割れするくらいまでほっておくんです。「中(なか)干し」と言うんですが、これによって根が地中深くに伸びて、稲穂ができても稲が倒れにくくなるんですね。根が栄養を摂ろうとして地中深くまで伸びるんです。
(2)フランスで栽培するワイン用の葡萄、実は肥沃な土地よりも痩せた土地の方がいい葡萄ができるんです。
肥沃な土地では根が深く伸びないから、味に深みがでない。痩せた土地の葡萄は地中深くに根が伸びるために、いろんな断層を超えて味に深みがでるんです。
(3)芝生は適度に踏んだほうがいい芝生ができる。人間も適度に苦労を味わったほうが本当の有難味が分かり立派な人として成長していける。
(4)筋肉に負荷をかけると筋肉は太くなり、使わなければ筋力も低下する。(エネルギーを出せば返ってくる)
(5)「この商品は限定10個ですよ」と言われると、並んでも欲しいと思うが、いくらでも商品があれば、別に欲しいとも思わない。
(6)ありふれた情報はいらないが、誰も知らないとっておきの情報なら欲しい。
2.人が太るのも "飢え" に対抗する力と言える
太るメカニズムも実は同じで、身体についてしまった脂肪(筋肉)はたくさん食べれば⇒太る という順応タイプではなく、飢餓に対して蓄えようとする反発する力がまず必要です。
栄養やカロリーはもちろん必要ですが、植物における肥料と同じでその後の話です。
つまり、太ってしまったという人は、身体からは飢餓状態にあると判定され、栄養がきたときに蓄えれる(摂り込める)身体になっているということです。
「何をもって飢餓と判定されているのか?」というのが実は重要で、
(1)食べる量が少なくても、4~5時間おきに食べ、繊維質の野菜や乳製品・脂肪など未消化のものが残る状態=『食べ物がある』⇒(つまり飢餓ではない)
(2)たくさん食べても、炭水化物に偏って10~12時間近く食べないで、すべて消化され空腹の状態=『食べ物がない』⇒(つまり飢餓状態)
と判断される。
すべては、6~7mあると言われる腸(小腸)全体で判定されていることであり、「炭水化物を多く食べて太った」と感じる人が多いのはその為です。
詳しくは 『私の言う、”(腸内)飢餓”の定義』をお読みください。
2015.09.27
”少ししか食べてないのに太る” とはどういうことか?
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目次
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- 間違ったダイエット
- 太ってしまった友人女性
- 1年で3キロ太った同僚
- 「カロリーだけを減らせばいい」が間違いの元
1.間違ったダイエット
太る原因は 「消費カロリーを上回る摂取カロリー」 と言われていますが、そのため、食べる量だけを減らし、空腹を我慢してダイエットしている人を見受けます。
例えば、昼はおにぎりと鶏のから揚げ1個とか、ハンバーガー1個とドリンクのみとか・・・「お腹減った~」と言いながらも、食べないで我慢している。
こういう人は、ダイエットが上手くいかないばかりか、長期的には、徐々に太りやすくなる傾向をもつというのが私の考えです。
2.太ってしまった友人女性
私が大学時代に飲食店でアルバイトをしていた時、そんなに太っている訳ではないのにダイエットを始めた女性がいました。彼女はいわゆる ”痩せても、太ってもいない” という体型で、男性からみたら「そのままでええのに~」という感じなのですが、彼女は ”太りたくない” という一心でダイエットを始めたみたいです。
しかし、賄いのご飯やおかずの肉類を半分にするだけでサラダなどは食べません。いつも「お腹減った・・・」と言いいながらも、おやつも食べずに我慢していました。
その結果は・・・というと、痩せないばかりか「あれっ少し太った?」という印象を受けました。
3.1年で3キロ太った同僚
老人ホーム(特養)で給食調理していた時の同僚(T君)も同様です。私が出会ったとき、彼はがっしり体型(身長:約170cm、体重:70kg前後)でした。決して太ってはいないのですが、「この1年で3キロ、これまでの最高体重を更新したので・・・」と言ってダイエットをしていまいた。
彼はと言うと、早朝5時半から働いているのに朝は何も食べません。昼も小茶碗にご飯1杯とメインのお肉(お魚)・汁物だけを食べる。野菜の煮物やサラダにもオイルは使われているので、摂取カロリーが増えると思ったのか分かりませんが、野菜などの小鉢(お浸し、ヒジキ、レンコン金平など)はほぼ食べません。
その後も、彼は1年間でさらに2キロ太りました。
4.「カロリーだけを減らせばいい」 が間違いの元
これは何が間違いなのかと言うと、痩せるためには炭水化物やお肉・脂質などの 「カロリーのみを減らせばいい」 と考えたことです。そして痩せるためには 「空腹を我慢しなければいけない」 と考えたことです。
結果として繊維質の野菜や油脂、乳製品まで摂らなかったために、腸の飢餓メカニズムが引き起こされ、設定体重がアップしていったことが原因だと推測します。
➡飢餓メカニズムの生じ方には、2通りあります。
(1)炭水化物や肉などに偏った食事が多く、食べる量は多いが、1日1食又は2食のように回数はあまり食べない。そして空腹を長時間我慢している。
(2)ダイエット中の人に見られるように、食べる量は少ないが、炭水化物と少量のお肉(蛋白質)などに偏っていることがある。1日3回食べたとしても、空腹を我慢している時間が長い。
▽結局、多く食べても少なく食べても、食事が消化の良い炭水化物やお肉に偏るのであれば、お腹(腸)の中での偏食の割合は変わりません。それ以外に何も食べないで空腹を長時間我慢していることは、腸の飢餓メカニズムの観点からいえば、どちらも同じ判定なんですね。
繊維質の野菜や乳製品、油脂を多く摂ることは、腸の飢餓メカニズムを防ぐ観点から大切なのに、彼らはカロリー摂取量だけに意識がいき、それらを食べなかったのです。
(※注)脂質に関する認識の違いについては、脂質(脂肪)についての3つの視点 をご覧ください。
2015.09.12
あなたは間違っていない。間違いが起こる4つの理由
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- ダイエットが上手くいかないのは・・・?
- 食べても太れないのは?
- なぜ間違いが起こるのか?
- ダイエットが上手くいかないのは・・・?
このブログの最後に、「なぜ、間違いが起こるのか?」という、4つの理由を書きますので最後まで読んでくださいね!!
1.ダイエットが上手くいかないのは・・・?
ダイエットというと運動にカロリー制限。
でもこの方法ですんなり痩せたっていう人に余りお目にかからないですよね。一生懸命、運動して食べたいものも我慢して「やっと、3キロ痩せた」と思ったのに、食べたらすぐに戻ってしまった。
「私の努力がたりないのかしら・・・?」
「食べてしまった私が悪いんだわ・・・」
と自分を責めてしまいます。
しかし、そもそも痩せている人がそんな努力をしている人ばかりではありません。
食べたいときに好きなもの食べている人がほとんどです。
何十年にもわたり、数々のダイエット法がことごとく”出ては消え” を繰り返しているのを見ても明らかです。だから、あなたは間違っていない。その理論に欠陥があるのです。
2.食べても太れないのは・・・?
逆に、痩せている人が、”太りたい” と思って食べても中々太ることができません。
他の人からは、
「まだまだ、食べる量が少ないんだよ」
「もっと、脂っこいものとか、肉とか食べないと・・・」
などと言われてしまいます。
しかし、そもそもこの豊かな日本で、カロリーや栄養の量が少ないから太れないなんてことありえません・・・。
もちろん、代謝がいいから痩せてるんだ・・・なんて都合のいい解釈です。
もちろん、太るためには食べないといけないし、カロリーも勿論必要なのですが、その量ではないと私は言っているのです。だから、あなたは間違っていない。理論に欠陥があるのです。
3.なぜ間違いが起こるのか?
【間違いが起こる、4つの理由】
(1)外面(食べる量、食べる速さ、運動量など)ばかり他人と比較して、内面にフォーカスしないからです。
(2)太ってしまった人の一部の行動のみを見て、全体を把握したつもりになるからです。
(3)「結果」に対する本当の「原因」を探求しないからです。
(4)”カロリーが太る” という常識で頭が固くなっているから、他の視点が見えないのです。
上記の(1)~(4)は、それぞれ別ブログで詳しく説明したいと思います・・・。
2015.07.30
ダイエット(カロリー制限と運動)は、長期的にはほぼ成果なし
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目次
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- 失敗は必ずしも意思の弱さではない
- 長期的なダイエットの結果は?
- 認知的不協和
ダイエットというと運動と食事(カロリー)制限。
でもこの方法で、すんなり痩せたっていう人に余りお目にかからないですよね。
▼ブル中野さん(女子プロレスラー)も、ダイエットとリバウンドを繰り返されてたのですが、重度の膝の病気がきっかけで痩せることが必要となり、最終的に胃の切除手術を受けられたそうです(2015年6月23日「解決ナイナイアンサー」より)。ブル中野さんも「運動と食事制限では痩せない」と言われています。
▼お笑い芸人の杉ちゃんも、ビリーズブートキャンプで7キロ減量に成功した後、すぐに7キロリバウンドされたそうです。
今回は、従来のカロリーに基づくダイエットが、如何に効果がないのかということを、「瘦せたければ脂肪を沢山とりなさい」「人はなぜ太るのか」という2冊の本から紹介したいと思います。ほとんどが引用になりますがご了承ください。
1.失敗は必ずしも意思の弱さではない
(「瘦せたければ脂肪を沢山とりなさい」ジョン・ブリファ著より)
”肥満の原因についてはいろいろな意見があります。しかし結局のところ、問題の原因はカロリーの アンバランス、つまり摂取するカロリーが代謝と活動によって燃焼するカロリーを上回っているせいだ、という意見がよく知られています。体重問題の解決策は単純に、食べる量を減らして運動量を増やすことにより、そのバランスを回復することだ、という意見もよく聞かれます。
このアドバイスはもっともに思えます。
しかし困ったことに、このアドバイスを採用しても長期的にはたいして体重が減らないことが、大勢の人たちの経験だけでなく科学的研究からもわかっているのです。
ここで出てくるのはたいてい、従来のやり方で失敗する人は意志の力と自制心が足りないのだ、という話です。
しかし実際のところ、カロリーにもとづくダイエット戦略はうまくいかないだけでなく、ごく少数の人以外にはうまくいくはずがないのです。
食べる量を減らして運動量を増やすと、体が減量に抵抗し、そのうちに実は体重が増加しやすくなるおそれがあります。”
(ジョン・ブリファ. 2014.「瘦せたければ脂肪を沢山とりなさい」. Pages 21, 29.)
2.長期的なダイエットの結果は?
(引き続き「瘦せたければ脂肪をたくさん取りなさい」より引用)
“減量努力を始めてから2年以上、対象者をモニターしている研究に限定することで、従来の方法の 長期的成功を評価できます。食べる量を減らして運動量を増やすことによる 短期的な勝利については、わかっている人も大勢いると思いますが、ここで知りたいのは長期的な勝負のことなのです。
<研究1 >
平均年齢36歳、平均BMIが35.0の人たちに、低カロリー食(安定した体重を維持するのに必要な量より1日1000キロカロリー少ない食事)を指示。
一部の人はこの食事制限に加えて、運動として45分間のウォーキングを週に4~5回。
この介入を1年続け、介入終了から1年後、体重を測定しました。
長期(1年以上)の食事制限を始めてから2年後、平均減少体重はわずか2キロ程度です。 定期的な運動を加えても、体重減少は平均でたった約3キロです。
この結果は、多くの被験者の体重に照らすと、よけいに微々たるものに思えます。平均身長の人のBMIが35だとすると、体重は約101キロになります。この体重の人が、つらい食事制限と運動という投資の見返りとして2~3キロの減量に満足するとは、私にはとうてい思えません。
もうひとつ意外かもしれないのは、食事制限を補助するものとして用いられる運動が、減量という目的には役に立たないことです。先程の研究結果から、定期的に運動していた人たちの体重はたった1キロよけいに減っただけであることがわかります。” (P 30-32.)
(引用以上)
(「人はなぜ太るのか」ゲーリー・トーベス著より引用)
“タフツ大学(アメリカ、マサチューセッツ)の2007年のレビュー(1980年以降に医学雑誌に掲載された食事療法の試験に関連する論文の分析)によると、肥満および過体重の患者に対する低カロリー食の処方は、よくても「一過性」、つまり一時的な軽度の減量をもたらすだけである。
典型的な例では当初の6か月間に約4~4.5kgの減量となる。 しかし、1年後に体重は元に戻っていた。
また、今までで最も大規模な試験においてもこれに非常に近い答えが得られている。
その試験は、ハーバー ド大学およびルイジアナ州バトンルージュにある米国内で最も影響力のある学術的な肥満研究施設であるペニングトン生物医学研究センターに所属する研究者らによって行われた。
800人以上の過体重および肥満者を被験者として試験に登録し、4種類の食事群にランダムに割り付けた。4種類の食事は栄養成分(蛋白質、脂肪、炭水化物の割合)がわずかに違っていたが、1日あたり750キロカロリーという大幅な減食を前提としているという点では実質的に同じであった。
食事療法が続けられるよう”徹底的な行動カウンセリング”が行われた。これは減量しようとしたときに、決して受けることのないような専門家からの支援であった。また、カロリーが十分 に低くてもおいしい食事をつくれるように、被験者には2週間ごとに食事計画も与えられた。
試験開始時の被験者たちは平均約23kgの過体重であったが、試験中に平均でわずか約4kg減量しただけであった。
またタフツ大学のレビューで示されていたように、今回も約4kg減量の 大部分は当初の6か月に起こり、被験者の多くは1年後に元の体重に戻りつつあった。
少なく食べること、つまり減食はたとえ効果があったとしても数か月以上は続かないのだから、肥満がめったに治らなくても不思議はない。”(ゲーリー・トーベス. 2013.「人はなぜ太るのか」. Pages 44-5.)
3.認知的不協和
(引き続き「人はなぜ太るのか」より)
”しかし、このような現実がありながらも、専門家たちは減量法の推奨をやめたことがなく、そのような推奨を受けることは、心理学者たちが「認知的不協和」と呼ぶ、矛盾する2つの信念を同時に保とうと努力することから生じる葛藤をもたらすことになる。
たとえば、この分野で最も著名な3人の専門家、ジョージ・ブレイ 、クロード・ブシャール、および W.P.T.ジェームスが編集し、1998年に出版された教科書『肥満ハンドブック (Handbook of Obesity)』を見てほしい。
「食事治療は今なお治療の基本であり、エネルギーの摂取を減らすことは、減量成功の原則であり続ける」と記されている。
一方で、この記述の少し後には、そのようなエネルギーを制限した食事は「効果があまりなく、長続きしない」と書かれているのである。それでは、なぜそのような効果のないものが治療の基本になっているのか? 同書はその説明を怠っている。”(Page 45)